YouTube更新で精一杯なのでブログ更新は控えめにしていましたが、今回のパターンはブログの方が分かりやすいのと、以前からGoogleやXで検索しても情報が見つからなかったので、この記事を作成しました。
ぜひご参考になればと思います。この記事も Typeless と Claude で執筆しています。
起:Typelessをマウスボタン1つで起動したかった
音声認識ソフト「Typeless」を愛用しています。以前はAquaVoiceを使っていましたが、Typelessの認識精度の高さに惹かれて乗り換え、現在は有料ユーザーとしてTypeless一本で運用しています。インターフェース言語も日本語に対応しており、日本語の音声認識精度も非常に良好です。
Typeless の主な機能は以下の3つです。
- 音声入力:マイクからの音声をリアルタイムでテキスト化
- 何でも聞いてみて(Ask Me Anything):音声で質問するとAIが回答してくれる機能
- 翻訳:音声入力をリアルタイムで翻訳
このうち「何でも聞いてみて」機能を、キーボードに手を伸ばさずマウスボタン1つで起動したいと考えました。
AquaVoice利用時は、キーボードショートカットにF12を割り当て、Logi Options+側でもF12をマウスボタンに割り当てて問題なく使えていました。つまりAquaVoiceはマウスからの合成キーイベントでも正常に動作します。同じ要領でTypelessでもできるだろうと思ったのですが、ここから長い検証の旅が始まります。
私の環境
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OS | macOS |
| マウス | Logicool(Logitech)MX Master 4 |
| マウス設定ソフト | Logi Options+ |
| ストリームデッキ | Elgato Stream Deck XL |
| Typelessのショートカット | 初期設定:Left Option + Space |
承:4つの方法を試したが、すべて失敗した
検証1:Logi Options+の「キーボードショートカット」
最も基本的な方法から試しました。

Typeless側のショートカットはデフォルトの Left Option + Space のまま、Logi Options+でマウスのミドルボタンに「キーボードショートカット」として Option + Space を割り当てました。
結果:動作せず。
キーボードから Option + Space を押すとTypelessは正常に反応しますが、マウスボタンからは全く反応しません。他のアプリケーション(Premiere Proなど)のショートカットはマウスボタンから正常に動作するため、Typeless側に原因があると推測しました。
検証2:Typeless側のショートカットを変更
「Option + Space」という組み合わせが特殊なのかもしれないと考え、Typelessの「何でも聞いてみて」のショートカットを Left Shift + Left Cmd + T に変更。Logi Options+でも同じ Shift + Cmd + T をマウスボタンに割り当てました。
結果:動作せず。
キーボードからは正常に動作しますが、マウスボタンからは反応しません。ショートカットの組み合わせを変えても状況は同じでした。
検証3:Logi Options+ Smart Actionsの「キーストローク」
Logi Options+にはSmart Actionsという、より高度なマクロ機能があります。新しいアクションを作成し、トリガーに「MX Master 4, ミドルボタンが押されました」を設定、アクションに「キーストローク」を選択して Shift + Cmd + T を記録しました。
結果:動作せず。
Smart Actionsのキーストローク機能でも、Typelessは反応しませんでした。
検証4:Elgato Stream Deck XL
Logi Options+固有の問題かどうかを切り分けるために、Elgato Stream Deck XLでも検証しました。Stream Deckのボタンに「システム:ホットキー」として Shift + Cmd + T を設定しました。
結果:動作せず。

Stream Deckからも同様にTypelessが反応しません。これにより、この問題はLogi Options+固有ではなく、合成キーイベントを送信する外部デバイス全般で発生することが確認できました。
転:Typelessは「物理キーイベント」しか見ていない
4つの検証結果を総合すると、原因は明確です。
通常、キーボードを押すと「物理キーイベント」がOSに送信されます。一方、Logi Options+やStream Deckがマウスボタン/物理ボタン押下時に送信するのは「合成キーイベント(CGEventなどのソフトウェア生成イベント)」です。
多くのアプリケーションはこの2つを区別しません。実際、AquaVoiceはマウスボタンからの合成キーイベントで問題なく動作していました。しかしTypelessは低レベルのキーイベントフック(IOHIDやCGEventTapなど)を使用している可能性があり、合成イベントを「本物のキーボード入力」として認識していないと考えられます。
この仕組みはセキュリティや誤作動防止には有効ですが、外部デバイスとの連携ができないという大きなデメリットがあります。
AppleScript経由のワークアラウンドは?
AIアシスタント(Claude)から、macOSのSystem Events経由でキーイベントを送る方法も提案されました。
tell application "System Events"
key code 17 using {shift down, command down}
end tell
これをAutomator Appとして保存し、Logi Options+から呼び出すという方法です。しかし、Typelessサポートに確認したところ、AppleScript経由のトリガーも現時点では対応していない(対応はロードマップ上) とのことでした。
Karabiner-Elementsなどの低レベルキーリマッピングツールも選択肢としてありますが、設定が複雑で過去に苦労した経験があるため、今回は見送っています。
Typelessサポートとのやり取り
この問題について、2回にわたりTypelessサポートに問い合わせました。
1回目(2026年2月): 問題の詳細と検証結果を報告。回答は「ロードマップに入っており、チームが積極的に実装に取り組んでいる」とのことでした。
2回目(2026年3月): AquaVoiceを解約してTypeless一本にしたこと、追加の検証結果を報告してフォローアップ。回答は「外部入力デバイスやAppleScript経由のトリガーへの対応は、引き続きロードマップ上で開発中。具体的なタイムラインはまだないが、利用可能になり次第アナウンスする」とのこと。
Stream Deckでも動作しないことを追加報告し、外部デバイス全般からの起動に需要があることを伝えました。
AquaVoiceとの比較
唯一、AquaVoiceはこの点で優れていました。マウスボタンからの合成キーイベントでも問題なく動作し、Logi Options+との連携はスムーズでした。マウスから起動できるという一点だけはAquaVoiceの強みで、しばらくはTypelessと併用していました。
しかし音声認識の精度ではTypelessが圧倒的に上回っていたため、最終的にはAquaVoiceを解約してTypeless一本に絞りました。それほどTypelessの認識精度には満足しています。
結:現時点ではキーボードから押すしかない
検証結果と現状をまとめます。
| 方法 | 結果 |
|---|---|
| キーボードから直接ショートカットを押す | ✅ 動作する(唯一の方法) |
| Logi Options+ キーボードショートカット | ❌ 動作しない |
| Logi Options+ Smart Actions キーストローク | ❌ 動作しない |
| Stream Deck ホットキー | ❌ 動作しない |
| AppleScript / Automator | ❌ 未対応(ロードマップ上) |
| Karabiner-Elements | 未検証(設定の複雑さから見送り) |
Typeless自体は本当に素晴らしいソフトです。 音声認識の精度は高く、日本語対応も優秀で、マウス連携ができるAquaVoiceを解約してでも使い続けたいと思えるほどの実力があります。だからこそ、この外部デバイス対応が実現すれば最強の音声認識ツールになると期待しています。
Typelessチームはこの問題を認識しており、ロードマップに入れて開発中です。最新情報はX(Twitter)の公式アカウント @typelessdotcom でフォローできます。
同じ問題に直面している方へ: ぜひTypelessサポート(hello@typeless.com)にも要望を送ってみてください。ユーザーからの声が多いほど、対応の優先度が上がるはずです。アップデートがあれば、本記事も更新していきます。
